
性感染症
性感染症
性感染症(STI)とは、性行為あるいは性行為に類似する行為によって感染する病気のことです。
性経験の低年齢化に伴い、高校生の間でもSTIが広がりつつあります。特定のパートナーのみだからといって安心はできません。
例にあげると2023年、都内における梅毒の数が3701件で感染症法に基づく調査開始以降、過去最多と報告されています。東京都保険医療局「東京都性感染症ナビ」
コンドームの使用を心がけましょう。避妊だけではなく、STIの予防に有効です。STIは正しい性教育と予防法を学ぶことで防ぐことが可能です。
こんな痛みや症状でお困りではないですか?
STIはパートナーと同時期に治療を行うことが大切です。ご本人だけでなく、パートナーの方もお気軽にご相談ください。
クラミジアはクラミジア・トラコマチスという細菌の感染で、日本で最も多いSTIの一つで、20~30歳の若年層に多くみられます。
性行為あるいは性行為に類似する行為によって感染し、性器や喉に感染します。
クラミジア性尿道炎は、軽い尿道の違和感や不快感、排尿痛、尿道からの少量のサラサラした分泌液が出るなどの症状があります。
クラミジア性子宮頸管炎は、おりものの増加や悪臭、外陰部のかゆみなどの症状があります。
男性と比べて、自覚症状が少ないため感染していることに気付かないケースも多く、妊娠時や不妊治療などで発見される場合もあります。
喉に感染すると咽頭クラミジアとなりますが、軽いかぜ症状程度で、自覚症状が少ないため感染していることに気づかないケースも多々あります。
淋菌はクラミジアと同様に日本で最も多いSTIの一つです。感染経路も同じで、淋菌とクラミジアの両方に感染していることも少なくはありません。
淋菌性尿道炎は、クラミジアよりも症状が強いのが特徴で、強い尿道違和感、強い尿道痛、尿道からドロっとした分泌液がでるなどの症状があります。
淋菌性子宮頸管炎は、クラミジアと症状は類似しており、おりものの増加や悪臭、外陰部のかゆみなどの症状で、軽いもしくは無症状で気づかないケースもあります。
喉に感染すると咽頭淋菌となりますが、咽頭クラミジアと同様に軽いかぜ症状程度で、自覚症状が少ないため感染していることに気づかないケースもあります。
尖圭コンジローマはヒト乳頭腫マウイルス(HPV)6・11型などのウイルスの感染で発症します。
感染すると性器や肛門周囲にカリフラワーのような乳頭腫(イボ)が出現します。乳頭腫以外に痛みなどの自覚症状が伴わないことが多く、放っておくと乳頭腫が増殖し、サイズも大きくなってしまいます。治療としては、乳頭腫の除去を行いますが、ウイルスを完全に死滅させることが難しいため、治療後3ヵ月以内に約25%が再発するといわれています。
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。感染すると性器やその周囲に赤い水疱やびらん(ただれ)が出現します。また神経痛を伴うため陰部に激しい痛みを自覚されます。
治療としては、抗ヘルペスウイルス薬の軟膏や内服薬を使用しますが、一度ヘルペスに感染すると治療を行っても完全にウイルスを死滅させることができず、神経(脊髄神経節)に潜伏しています。
疲労やストレス、免疫力の低下などがトリガーとなってウイルス増殖につながり再発を繰り返すことがあります。抗ヘルペスウイルス薬を用いた再発抑制療法があり、再発抑制療法を行った場合は再発リスクを大幅に下げることができます。
性器カンジダ症は、真菌(カビ)であるカンジダ菌に感染・増殖することで発症します。
もともとカンジダは口腔、消化管、腟、皮膚の常在菌であり、健康な女性の30~50%の腟内に常在しているといわれています。
女性の場合、疲労やストレス、免疫力の低下、抗菌薬使用などでカンジダ菌が異常に繁殖することが原因で、ホルモンバランスの変化にも影響されるため生理前に発症しやすいです。カンジダ膣炎の症状としてカッテージチーズ状(酒糟状)のおりものが増え、外陰部や腟のかゆみと灼熱感などがあります。一方で男性の場合、女性との性行為によって感染し、症状としては亀頭のかゆみや発赤、軽い排尿痛が出現します。
性器カンジダ症は、女性の方が男性に比べて自覚症状が強い傾向にあります。
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌の感染で発症します。性行為あるいは性行為に類似する行為によって、性器や口の粘膜や皮膚から感染します。感染初期には、性器や口に痛みのない小さなできものやしこりができます。続いてバラ疹(手のひらや足の裏、体に赤い発疹)が現れます。このような症状は、痛みがなく治療を行わなくても一時的で自然に消えてしまうため、病院受診を逃してしまう可能性があり、治ったと勘違いして発見が遅れるケースもしばしばです。治療をせずに放置すると全身の臓器や神経が侵され、重大な合併症を引き起こす可能性があります。
症状がなくなったからといって自然治癒することはありません。病院受診を中断せずに、しっかりと治療を受けましょう。
B型肝炎ウイルスが肝臓に感染することで発症します。母体がB型肝炎に感染していると、お産の時に母体から赤ちゃんに感染してしまう母子感染の経路が主です。その他、注射器の回し打ち、刺青・タトゥー、出血を伴う性行為(粘膜どうしの濃厚な接触)などで血液を介して感染します。
B型肝炎は急性肝炎を引き起こすことが多く、全身倦怠感、食思不振、褐色尿、黄疸などが出現します。数週間の経過で回復していきますが、ごくまれに重症化し劇症肝炎になることもあります。
C型肝炎ウイルスが肝臓に感染することで発症します。
感染経路は、B型肝炎と同様に注射器の回し打ち、刺青・タトゥーなどの血液感染で、性交渉や母子感染での感染の可能性は低いとされています。C型肝炎は慢性肝炎を引き起こし、肝硬変や肝がん発症のリスクが高くなります。
HIV感染症とはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することです。HIVに感染し、免疫力が著しく低下し、様々な感染症にかかりやすい状態をAIDS(後天性免疫症候群)と呼びます。
HIVは血液、母乳、精液、膣分泌液などの体液によって感染します。性行為あるいは性行為に類似する行為による感染が最も多い感染経路です。その他に、注射器の回し打ちや、刺青・タトゥーなどの血液感染があげられます。また、母体がHIVに感染していると、妊娠中や出産時、授乳によって母子感染する可能性もあります。
治療に関しては、HIVに対する治療薬が目まぐるしく進歩しており、現在ではHIV感染症は「死の病」ではなくコントロール可能な「慢性疾患」と考えられるようになってきています。HIV感染症の予防はもちろんですが、早期発見・早期治療がとても大切です。
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